病名・症状は、あいうえお順。年齢は初診時。

◆ アトピー性皮膚炎

Kさん 5歳男性

・2023年3月

 生後2ヶ月から湿疹がひどく、コムギ、バナナで強いアレルギー反応。1歳から小児喘息。コムギ除去をしていて3歳ころには落ち着いてきていたが、幼稚園に行き出して悪化、つい小麦を食べてしまっている。受診時には顔を含む全身に湿疹、かきむしって悪化。10日前にパンを大量に食べた。いつも小麦を食べて10日くらいすると皮膚症状が悪化するとのこと。体質改善の漢方薬(小建中湯)と小麦を減らした食事を。

 

・2023年6月

 小麦を減らしてかなり改善していたが、学校給食で小麦のパン、麺、学童保育の小麦のお菓子を食べていたら、急激に悪化。ステロイドの塗り薬でもほとんど変わらないので強いものになった。前回より湿疹が多く全身。かきむしって所々出血。血液検査で多くの食品、花粉などにアレルギー反応。

 揚げ物、コムギを極力減らし、お腹を整える人参湯、皮膚炎に十味敗毒湯を。

 5日後、改善傾向。

 

2023年8月

 膝の裏がきれいになった。手の湿疹は、まだ残っているが改善傾向。

 改善しているので、9月でいったん服薬終了。

 

2024年2月

 久しぶりの来院。足はすっかり滑らかに。手に症状が少し出ていて痒い。給食には米粉パンを持参しているとのこと。コムギのお菓子は食べることがあり、症状が出ているが、以前のようなことにはなっていない。

 鼻炎の漢方薬を希望。

 

★皮膚の症状に困っているかたで、パンやパスタ、ラーメン、うどん、お菓子が大好きという場合、小麦製品を中止するだけで改善することが多く見られます。

揚げ物も中止すると、なおよろしいかと。 


◆ 肩から背中の痛み

Tさん 64歳男性

2022年2月脳梗塞。後遺症は軽度。高脂血症、糖尿病を他院にて治療中。

肩から背中全体の痛みのために、非ステロイド系鎮痛剤のシップを1日6枚貼っている(貼りすぎです)。

胸やけがひどく他院で処方された胃薬だけでは症状が治まらず、市販薬を飲んでいるので処方希望。

 

 お話を聞いていると、高脂血症の薬を飲み始めたころから背中の痛みが出ているため、1週間ほど中止してもらう。

 高脂血症治療薬を中止して1週間、背中の痛みがなくなった。ので、シップも中止。すると胃の不快感が消えた。食生活は以前に比べて油脂の量がとても減っているため、このまま経過観察。高脂血症が悪化するようなら、再開を含めて検討。

 


◆ 高血圧症

Tさん 71歳 男性

2022年10月 特定健診で来られたときに、足の冷えがとてもひどいと話されました。血圧を下げる薬(3種類)を飲んでいて、ときに収縮期血圧(血圧の数値の高い方)が100以下になるというので、1週間ほど薬を飲むことを止めてもらいました。すると、あれほど悩んでいた足の冷えが消えたそうです。中止して7日目の血圧は135前後。

 現役時代は多忙で散歩程度の運動でしたが、いまや本格的にサイクリングや走り込みをしていて、その運動量には驚くばかりです。それなのに以前と同じ量の薬を飲んでいたので、不調になったようです。

 

2023年11月 血圧の薬1種少量で収縮期血圧130前後、体調は良好。

 

 血圧の薬は飲み始めたら一生飲まなくてはならないから、飲みたくない。

というお話を聞きます。そんなことより、高過ぎることがリスクですから下げなくては。

 いっぽう、この男性のように以前とは生活習慣が変わっているのに薬が変わっていないために、不都合が起こっている時もあります。


◆ かゆみ、湿疹、手荒れ

Tさん 58歳女性

 

48歳 乳がんのため放射線療法、抗がん剤治療。10年間ホルモン療法。

 

・2022年11月 食後の胃の違和感、口内炎、かゆみを伴う湿疹、手荒れ、便秘気味などがあり来院。胃の検査は異常なし。湿疹は皮膚科に通院中だが良くならない。

パンが大好き。ほぼ毎日食べていたので、小麦製品、油脂を減らしてもらうことに。黄連解毒湯、ウルソデオキシコール酸、麻子仁丸を処方。米飯を多めに。

 

・2022年12月 小麦を控えるとかゆみが減っている。口内炎はできていない。食後の違和感がない。黄連解毒湯は中止。

 

・2023年1月 湿疹が出なくなった。かゆみもない。冬にいつも起こっていた手荒れがない。パン、ケーキ、チョコを止めて和菓子にしている。便秘は改善傾向。

 

・2023年3月 この数年で一番調子がいい。花粉症もとても軽い。かゆみがなくなった。以前は肛門が切れてかゆみがあったが、切れることがない。便通は米飯を食べないと滞る。麻子仁丸はたまに飲む程度。

 

・2023年11月 調子が良かったが、旅行でご馳走をたくさん食べたら湿疹が出た。かゆい。パンを一度食べたら、毎日食べてしまった。つい欲しくなる。米飯だけ食べていた時は、そういう気持ちにはならなかったのに、と。

 

・2024年2月 パン食べていない。胃腸も皮膚も調子がいい。風邪もひいていない。


◆月経前症候群、ニキビ

N さん 33歳 女性

 

・2022年8月 顔、背中、胸にニキビが多数。とくに月経前に悪化。イライラもひどく、以前抑肝散を飲んだら少し良かったので、飲んでみたい、と来院。

パン、うどん、ラーメンが好きでよく食べるということなので、2週間中止してもらう。十味敗毒湯、桂枝茯苓丸処方。

 

・2023年3月 久しぶりに来院。小麦製品を減らしていると肌の調子がいいように思う。漢方薬が無くなったので飲んでいなかったら、悪化してきた。処方。

 

・2023年12月 久しぶりに来院。小麦製品は減らしている。化膿しているニキビがあるが、以前より減った。排膿散及湯、桂枝茯苓丸加ヨクイニン処方。

 

 

 


◆ 書痙(しょけい・字を書く時に手が震える)

Mさん 67歳男性

30歳頃から不安神経症。服薬治療を受けていたが症状の改善が見られず、服薬自体がストレス。40歳頃パニック障害服薬治療中、他人がいるところで字を書こうとすると震えて書けないという症状が出るようになった。65歳、考えがまとまらないなどの症状で心療内科受診。1年後には症状がなくなり服薬終了。それからも書痙は続いている。長年の白衣高血圧。

 

 書痙が少しでもよくなれば、と漢方薬治療をご希望。字を書く時は左手で押さえつけながら書いている状態。左手に震えは出ない。他人がいない場面で書字に問題ない。

・2023年2月 柴胡加竜骨牡蛎湯、四逆散1日3包ずつ。

・2023年3月 左手で押さえなくても字が書ける。上手には書けない。

・2023年5月 睡眠の質が改善した。書字もかなり改善。

・2023年6月 柴胡加竜骨牡蛎湯1日2包のみ。緊張すると少し震えるが、  

         以前よりずっといい。

・2023年11月 柴胡加竜骨牡蛎湯1日1包のみ。特に問題ない。

・2024年1月 年末年始の休暇から服薬をしなかったが、特に悪化していな 

         い。緊張場面で少し震えるが書字可能。服薬終了。