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歯の話 2


 私の歯周病治療体験から学んだことは、嫌なことを先送りにしないこと、でしょうか。「なんか変だなぁ」とは思っていましたが、積極的に歯科に行きたいとは思っていませんでしたから。できれば、避けたいと思っていました。そのため、歯ブラシや歯間ブラシ、歯磨きペースト、洗口剤の工夫で乗り切ろうと考えていました。軽症ならそれでよかったのだと思います。

 

 私の奥歯で起こっていたことは、歯石(石のように固くなってしまった細菌の塊)が付いた部分の歯肉が腫れ、歯と歯肉のすき間にいろいろ食べたものが積もって歯石が成長すると、また歯肉が腫れるという悪循環です。こうなると、いくら先の細いブラシでも届きません。そして炎症を抑えたり、細菌の繁殖を抑える洗口剤を使っても、腫れた歯肉に守られた奥の細菌には届かず歯石は大きく成長していくばかりです。すると歯肉もどんどん腫れます。通常の歯石のクリーニングで届かない、深いポケットになってしまっていたのです。

 

 ついに歯肉をはがして歯石を取り除くという手術を受けることになってしまいました。それ自体は問題なく終わりました。でも、そのあとの歯石を増やさないようにする日常の手入れが、何とも手間です。いろいろやってみて個人的には、フロス(指に巻き付けて歯垢を取り除く糸)を使うことが、面倒ですが一番効果的と思うようになりました。

 

 若い頃アメリカ映画で小さな子がフロスを使っているのを見て、びっくりしたことを思い出します。私は毎晩フロスを使うようになって、歯肉が丈夫になりました。最初のうちは上手に使えなくて、歯科衛生士さんに何度も指導を受けましたが、歯にこすりつけるように糸を動かすのがコツだとわかりました。歯肉にめり込むまで、です。

 そうやって歯と歯肉の間をきれいにすると、トラブルがほとんどなくなりました。定期的に歯石は取ってもらいますが、ゴリゴリされるときの痛さも減ってきて、拒絶感がなくなりました。

 フロスを使いだした最初のころ歯と歯肉の間にフロスを入れると、ものすごく痛いので、つい手が止まっていました。よだれも垂れるしね。(よだれは今もですけど)

 でも、歯肉が丈夫になるとフロスをギューっと入れても、そんなに痛みはありません。歯が無くなる前に、手術をしてもらったり、フロスの使いかたがわかって良かったです。